電子デバイス

特許で読むMOS型電界効果トランジスタ


<目次>

1.はじめに
2.MOSFETの基本特許
3.MOS電界効果トランジスタとは
4.MOSFETの基本構造
5.ソース−ドレイン間電流
6.半導体と絶縁膜の界面
7.絶縁膜中の電荷
8.MOSFETの使い方
9.MOSFETを使ったインバータ
10.論理回路
11.CMOS
12.CMOS素子の作り方(1)
13.CMOS素子の作り方(2)
14.CMOS素子の作り方(3)
15.CMOS素子の作り方(4)−金属電極の作製−
16.CMOS素子の作り方(5)−金属薄膜のパターニング−


1.はじめに

 トランジスタがアメリカのショックレーたちによって発明されたことは教科書にも載っている有名な話です。1948年のことです。最初に動作したのは半導体に金属の針を接触させた点接触型というものでしたが、その後、より安定な接合型と呼ばれるものが開発されました。「接合」というのはpn接合のことです。p型とn型の2種類の極性の半導体を使っていることから今では「バイポーラトランジスタ」と呼ばれています。

 バイポーラトランジスタが1個とか2個あれば、ラジオができます。今から40年以上も前の少年向け電子工作の雑誌などにはこのようなラジオの作り方がよく載っていました。ところが現在のパソコンなどに使われているトランジスタはこれとはちがうタイプのものです。そして何十万個という数のトランジスタが1つのチップに詰め込まれています。これが集積回路(IC)ですが、多くのトランジスタを集積化するためにはバイポーラトランジスタより「MOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)」というタイプの方が楽で現在ではこのタイプがもっとも多く使われています。

 このMOSFETのアイデアはショックレー以前の1930年代にすでにあったと言われてます。ところが後で説明しますが、実際に作るのが難しく、pn接合を使ったタイプが先に実現してしまったのです。MOSFETについては、原理的なアイデアの提案から実際に物ができるまで20年もギャップが空いてしまったので、ショックレーのようにだれが発明者なのかはっきり言われることがありません。

 普通の教科書のトランジスタの章ではバイポーラトランジスタが主として説明されていることが多いように思われますが、実際に多く使われているのはMOSFETで、この2つの種類にはかなりの違いがあります。ここではMOSFETを説明するので、その教科書となる特許を探したいと思います。