電子デバイス

バイポーラトランジスタ



<目次>

1.はじめに
2.電気信号の増幅とは
3.バイポーラトランジスタ中の電子の移動
4.バイポーラトランジスタの増幅作用
5.増幅特性(1)
6.増幅特性(2)
7.バイポーラトランジスタの記号と基本的な回路
8.プレーナトランジスタ
9.高周波用プレーナトランジスタ
10.パワートランジスタ
11.GaN系バイポーラトランジスタ
12.ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
13.バイポーラトランジスタの集積回路(キルビー特許)
14.バイポーラトランジスタの集積回路(ノイス特許)
15.素子分離技術(1)
16.素子分離技術(2)
17.半導体集積回路の製造方法(フォトリソグラフィと不純物拡散)
18.半導体集積回路の製造方法(セルフアライメント)
19.バイポーラトランジスタの特許分類(まとめに変えて)


1.はじめに

 トランジスタの発明がなされる前に既に電気信号を増幅する素子として真空管が実用化されていました。真空管は真空にした容器のなかでカソード(陰極)から空中に電子を飛び出させ、それがアノード(陽極)に辿り着く量を飛んでいる途中でコントロールするという原理でした。このため、容器を小さくするのには限界がありました。

 一方でコンピュータのような高度な機能をもった電子回路を実現するには多数の増幅素子が必要です。真空管を使ったのでは大型になりすぎ、しかも真空管は1本1本の寿命が短いので電子回路全体が故障しやすいものになってしまうという問題がありました。

 このようななかで20世紀の前半には半導体のなかで電子がどのように動くかが解明されてきて、これを使って真空管と同じ機能をもつ素子ができないかが真剣に研究され始めました。3極真空管と同様な機能を半導体を使って実現しようとした最初のアイデアは電界効果型のトランジスタです。しかし当時の技術ではアイデア通りに動作する素子は実現しませんでした。そこでいろいろな試行錯誤の結果生まれたのがバイポーラトランジスタでした。

 最初に動作したのは半導体に金属の針を接触させた点接触型というものでしたが、その後、より安定な接合型と呼ばれるものが開発されました。「接合」というのはpn接合のことです。p型とn型の2種類の極性の半導体を使っていることから今では「バイポーラトランジスタ」と呼ばれています。

 バイポーラトランジスタの発明と初期の試行錯誤についてはいろいろな本に書かれていますので、ここでは深入りしないことにします。むしろトランジスタがどうして増幅作用をもっているのかについて説明していきます。