光デバイス

2.光電変換の原理

 光のエネルギーを電気エネルギーに変換するにはどうしたらよいでしょうか。電気エネルギーの素は電子のエネルギーですが、これを取り出して使うためには、動く電子を作り出す必要があります。電子が電線のなかで移動するとそれは電流となります。電流はエネルギーとして利用することができます。

 この世界ではほとんどの電子が原子のなかにいます。電子が原子から離れて独立して動けるようにするにはエネルギーを与えて原子の束縛から自由にしてやる必要があります。そのエネルギーを光のかたちで与え、電子の動きを起こすのが光電変換の原理です。

 具体的には原子がたくさん詰まっている固体に光を当て、固体中に動ける電子を作ります。電子を動かす手段を大きく分けると、空間(真空中)を飛行させる方法と固体中を移動させる方法とがあります。空間を飛行させるためには、固体に光を当てて動ける電子を作り、ついでそれを空中に飛び出させる必要があります。これが光電効果と呼ばれる現象です。

 図2−1のように中を真空にしたガラス管の中に対向する電極を置きます。この2つの電極の間に電圧をかけ、マイナス極の方に光を当てます。すると電子が電極表面から飛び出してプラス極の方へ空中を飛行します。電子がプラス極に飛び込むと外部の電線に電流が流れます。普通の真空管はマイナス極側を加熱し、熱のエネルギーで電子を飛び出させている点が違いますが、真空中を電子が飛行する点は共通です。

 この光電効果を起こさせるための真空管を光電管と呼びますが、普通の真空管がトランジスタやダイオードのような固体素子に置き換えられたのと同じように、光電管も固体素子に置き換えることができます。

 どのように置き換えるかというと、図2−2のように真空のところを固体(絶縁体)に変え、その両端に電極を着けます。電極に電圧をかけ絶縁体に光を当てると、絶縁体内で発生した電子が電界によって移動し、外部回路に電流が流れます。この電流を光電流と言います。光電管では電子は電極の間で発生するのではなく、電極表面で発生する点が違いますが、その他はよく似ていると言えます。

 このため、この固体内を光電流が流れる現象も光電効果と呼ばれることがあります。ただ先に説明した空間に電子が飛び出す現象と区別するために内部光電効果ということもあります。その場合は空間に電子が飛び出す方は外部光電効果と言います。ただ内部、外部というのは面倒なので、固体に光を当てる方は光を当てると電気伝導が起こることから、光伝導と呼ぶ方が多いと思います。

 ところで電子はどんな物質にどんな光を当てても自由に動けるようにできるというわけではありません。物質(とくに固体の結晶)に光を当てたとき電子が発生するかどうかを決める性質がバンドギャップエネルギーという量です。

 図2−3は一様な絶縁体に電圧をかけて光を当てた状態のエネルギー関係を示す図です。横方向は位置を示し、縦の上下方向は電子のエネルギーの大小を示します。斜めの平行な線がありますが、この傾斜は電位が少しずつ変化している(傾斜しているとも言います)ことを示していて、電界がかかっているという意味です。電子が原子のなかにあるとき、そのエネルギーは下の線(価電子帯といいます)より下にあります。

 光のエネルギーをもらって電子が上の線(伝導帯といいます)より大きいエネルギーになったときはじめて電子は電界によって移動できるようになります。つまり傾斜に沿って転がり落ちるように移動します。ところが電子のエネルギーが伝導帯のエネルギーより小さいときはなにも起こりません。

 伝導帯と価電子帯のエネルギー差をバンドギャップエネルギー(記号:Eg)と言いますが、光のエネルギーがこのバンドギャップエネルギーより大きいときだけ、電子が自由に動けるようになり、電流となります。バンドギャップエネルギーは物質によって決まっています。光のエネルギーは波長と反比例しますから、ある波長より短い波長の光が照射されたときだけ光電流が流れます。使う波長が決まっている場合は、それによって物質を選ばないと、いくら強い光を当てても光電流は流れないことになります。

 以上のように一様な物質に光伝導を起こすには外部から電圧をかけてやる必要があります。ところが半導体では2種類の材料を接合することにより外部から電圧をかけなくても光伝導を発生させることができます。

 絶縁体と半導体は本質的な違いはありませんが、限られた物質だけはp型とn型を作ることができ、これが半導体の大きな特徴です。このp型とn型を接合したpn接合では外部から電界をかけなくても、内部に電界が発生します。そこでこの接合部分に光を当てると、外の電圧がなくても電流が流れます。