光デバイス

3.受光素子の動作と課題

(1)受光素子の動作

 フォトダイオードなどの受光素子の原理は、大きく分ければ前節で説明した光電変換の原理のうちの内部光電効果によっていると言えますが、半導体の接合を素子内部にもっている点が大きな特徴です。

 半導体の接合といえばpn接合が基本です。受光素子が図3−1に示すようなpn接合の両側に電極を着けたダイオードであるとします。そのエネルギーバンド図からわかるように電極間が短絡され素子に電圧がまったくかかっていなくても、素子内部の接合部分には電界があります。つまり電位が傾斜している部分ができます。

 この部分に光が当たって電子−正孔対ができると、電子と正孔はそれぞれこの内部の電界によって移動し、これによって外部回路に電流が流れます。光電変換素子の一種である太陽電池の原理はまさにこれです。

 ただ一般に受光素子の場合は電極間に電圧をかけて使う場合が多くなります。太陽電池の場合はエネルギーを取り出すのが目的ですから、そのために外部から電圧をかけてエネルギーを投入することはしたくありません。電源のない場所での発電では、外部に電源を用意することはそもそもできません。

 一方受光素子は光が来ているかいないかを検知するのが目的です。そのために性能が向上するなら多少のエネルギーを使ってもよいわけです。

 電圧をかける場合には、図3−2のようにp側電極にマイナス、n側電極にプラスの電圧をかけます。これを逆バイアスといいますが、pn接合ダイオードを逆バイアスにした場合、光が当たっていないならば電流は流れません。電極間に逆バイアス電圧をかけると、p側にはほとんど電子がなく、n側には正孔がほとんどないからです。

 しかし光が当たってpn接合部分できた電子と正孔はその部分にある電界に沿って電極の方向へ動くことができますから、その分だけが電流となります。

 pn接合に逆バイアスをかけると素子内部の電界は強くなりますから、そこにできた電子と正孔はより速く電極に向かって動きます。そのため受光素子は光により速く反応できるようになります。これは望ましいことです。

 素子内部に電界を作る方法はpn接合だけではありません。半導体表面に金属や絶縁体を接触させる方法もあります。半導体−金属接触はショットキー接触と呼ばれますが、これによれば、pn接合を作らずに簡単に内部電界ができますから、ちょっとした実験をするにはよい方法です。

 しかし製品の受光素子はほとんどがpn接合を使っています。なお、後で説明しますがpin接合というものが受光素子にはよく使われます。ここではこれもpn接合の一種として考えています。

(2)受光素子の課題

 受光素子の課題は大きく分けると2つあります。その一つは受光感度です。弱い光でもできるだけ効率よく電子−正孔対が発生し大きな光電流を流したいという課題です。

 光が当たって電子−正孔対ができると、光は半導体に吸収されます。半導体に光が吸収されるためには光のエネルギーがバンドギャップエネルギーより大きい必要があります。このためまずは受光したい光の波長(エネルギーに反比例する)に対して、その光を吸収するのに適した半導体材料を選ぶ必要があります。

 また感度と裏腹の関係にあるのが、ノイズです。光が当たっていないのに電流が流れてしまうのがノイズですが、ノイズが多いと光が来ているのかどうか判別ができません。ノイズの原因はいろいろありますが、その原因を絶ってノイズを極力減らす必要があります。

 もう一つの課題は応答速度です。これは光が入ってから電流が流れるまでの時間をいかに短くするかという課題です。とくに光通信の分野では非常に高速にオンオフする光の信号を正確に捕らえる必要があるので、応答速度の速い受光素子が求められます。

 まずは電子または正孔がいかに速く半導体中を移動できるかという問題があります。これは材料によっても違いがあるので、材料を適切に選ぶ必要があります。

 それから外部回路の問題もあります。受光素子はとくに逆バイアスをかけた場合にはコンデンサになります。外部回路の電流の変化を速くするためにはこのコンデンサへの充電と放電をできるだけ速くする必要があり、そのためにはコンデンサの静電容量を小さくしなければなりません。これには素子の構造を工夫する必要があります。

 以上のような課題に応えるために受光素子に対してどのような工夫がなされているかを以下の各節で紹介します。