光デバイス

太陽電池




<目次>

T.太陽電池は電力需要に応えられるか
1.はじめに
2.太陽定数
3.地球のエネルギー収支
4.太陽光のスペクトル
5.日射量の季節変動
6.年間平均日射量
7,日射量の定義と測定方法
8.太陽電池は電力需要に応えられるか

U.太陽電池の基礎
9.pn接合を用いた太陽電池
10.太陽電池のエネルギー変換効率
11.セルの構造
12.太陽電池の効率を低下させる原因(その1)
13.太陽電池の効率を低下させる原因(その2)
14.太陽電池の効率を低下させる原因(その3)
15.太陽電池の効率を低下させる原因(その4)
16.太陽電池の分類

V.単結晶シリコン太陽電池
17.最初の単結晶シリコン太陽電池
18.シリコン単結晶の作り方(その1):基本的な考え方
19.シリコン単結晶の作り方(その2):ゾーンメルティングとFZ法
20.シリコン単結晶の作り方(その3):引き上げ法(CZ法)
21.単結晶シリコン太陽電池

W.多結晶シリコン太陽電池
22.ソーラーグレードシリコン
23.SoG−Siの作り方(その1)
24.SoG−Siの作り方(その2)
25.SoG−Siの作り方(その3)
26.多結晶シリコンインゴットの作り方
27.多結晶シリコンシートの作り方
28.多結晶シリコン太陽電池

X.シリコン系薄膜太陽電池
29.アモルファスシリコン
30.アモルファスシリコン薄膜の作り方
31.微結晶シリコン薄膜の作り方
32.シリコン薄膜の作り方(その他)
33.シリコン系薄膜太陽電池
34.シリコン系薄膜太陽電池の接合構造
35.シリコン系薄膜ヘテロ接合太陽電池
36.集積型薄膜太陽電池
37.フレキシブル基板太陽電池
38.太陽電池モジュール

Y.シリコン系以外の太陽電池
39.化合物半導体太陽電池
40.V−X族化合物半導体太陽電池の高効率化
41.V−X族化合物半導体太陽電池の低コスト化
42.U−Y族化合物半導体薄膜太陽電池
43.T−V−Y族化合物半導体薄膜太陽電池
44.量子ドット太陽電池
45.有機半導体
46.有機半導体薄膜太陽電池
47.色素増感太陽電池

Z.太陽光発電システム
48.太陽光発電システムの種類
49.太陽光発電システムの構成
50.太陽光発電システムの構成(その2)
51.ライフサイクル評価
52.宇宙太陽光発電所

[.まとめ
53.太陽電池の特許分類 −まとめに変えて−




1.はじめに

 太陽電池とは太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する半導体デバイスですが、光は必ずしも太陽光である必要はなく、広い意味では光電池あるいは光電変換素子という呼び方もできます。

 ただ自然からエネルギーを直接取り出し、商用電源を代替するという目的の場合に、エネルギー源として利用できるのは言うまでもなく太陽光しかありません。太陽電池自身は半導体デバイスの一種に過ぎませんが、自然エネルギー利用に直接関係している点で他の半導体デバイスとは大きな違いがあります。

 それは太陽電池による発電がエネルギー資源として本当に役立つ成り立つのかを考える必要があるという点です。太陽光を電気に変えるのにかえって地球上のエネルギーを消費してしまうようでは意味がありません。このような問題を考えるために、検討すべき課題は大体以下のような項目になると思われます。

(1)太陽光エネルギー
 まず太陽から光としてやってきているエネルギーはどれくらいなのかを正しく知っておく必要があります。太陽はまだこれから50億年くらいは輝き続けると言われています。太陽が星の寿命を迎えたときどうなるかを今考えても仕方がないので、これは置くとして、これからもずっと地球に供給し続けられるはずのエネルギーがどのくらいの量なのかまず押さえておく必要があるでしょう。

(2)日照時間
 太陽は一定のエネルギーを地球に向かって送ってくれますが、地上の一地点で考えると季節や夜昼があり、天候の良し悪しもあるので、地上に光が当たる時間は限られ、しかもかなり変動します。世界中のどこか日の照っているところからエネルギーを送ってもらえるのでない限り、日が照っている時間(日照時間)が平均としてどれくらいあるのかは重要です。

(3)太陽電池の変換効率
 一方、太陽電池の側で考えると、まずやってきた光のエネルギーを100%、電気のエネルギーに変えられるわけではありません。100%どころかやってきた光のエネルギーのほんの一部しか電気に変えられないと言った方がよいでしょう。その割合を変換効率と言いますが、それは現状でどのくらいで、将来改善できるのかも大変重要です。

(4)設置面積
 (2)と(3)がわかると太陽電池からどのくらいのエネルギーが供給できるかがわかります。そうすればあとは必要なエネルギーによって太陽電池を地上のどのくらいの面積に置いたらよいのかが分かります。しかし地球上の生物は例外はあるにしても大体は生きていくのに太陽光を必要とします。太陽から熱が供給され地球が適温に暖められていることはもちろん必要ですが、例えば植物の光合成のように光そのものが当たっていることも必要です。となると地表のほとんどすべてを太陽電池で覆うようなことはできないことになります。少ない面積で必要エネルギーが供給できるかどうかが重要なポイントです。

(5)原材料資源
 必要な太陽電池の設置面積が大きいとそれを埋め尽くすように太陽電池を作るには半導体の原材料が大量に必要になります。また太陽電池の寿命も永久ではないので、ある時間が経てば交換も必要になるでしょう。それを考えたとき、必要な原材料を使ったとき原材料の資源がすぐに枯渇するようでは元も子もないので、この点も考える必要があります。

(6)発電量の変動対策
 太陽電池は日光が照っていないときは発電できないという宿命からは逃れられないと思いますから、その間の電力をどう調達するかが問題です。この問題にいい解決策がないと太陽光発電は補助的なものにとどまらざるをえないでしょう。

 まだまだいろいろな課題はあるでしょうが、以上のような問題を一つ一ついろいろな角度から考えていきたいと思います。