半導体

石がなぜ光る?


<目次>

1.はじめに
2.半導体の発光
3.n型半導体とp型半導体
4.pn接合
5.発光ダイオードの原理
6.発光ダイオードの材料
7.p型、n型の判定法
8.ヘテロ接合


1.はじめに

 そもそも物がなぜ光るのでしょうか。極端な例ですが、火山が噴火したとき火口から溶岩が流れ出ることがあります。映像でしか見たことがありませんが、岩石が融けた溶岩は光を出していますね。このように融けるまでいかなくても石(固体)は焼いて高温にすると光を出します。金属も低い温度でとけるもの、例えばハンダなどは光を出すよりも先に融けてしまいますが、高い温度でないと融けない金属は固体のまま光を出します。例えばタングステンは融点の高くしかも電気抵抗がかなり大きい金属ですからが、これに電流を流すと自ら発熱し、高い温度になると光を出します。普通の白熱電灯のフィラメントはこれを利用して照明用の光を得ています。

 では固体は熱せられるとなぜ光るのでしょうか。光は電磁波の一種で、テレビやラジオの放送を運んでくる電波(電波と電磁波は同じ意味です)と同じものです。違うのは波の振動数(周波数)、または1回振動する間に進む距離、すなわち波長です。ラジオのAM放送が送られている電波の周波数は、500キロヘルツ(KHz)から1500KHzの範囲です。まあ大体1000kHz前後です。この電波の空気中での波長は大体300メートル(m)になります。ところが目に見える光(可視光)の波長は500ナノメートル(nm)位ですから、109倍(10億倍)も違うことになります。可視光は人間の眼が感じることのできるごく狭い波長範囲の電磁波です。ラジオの電波はもちろん、この波長範囲を外れると、人間の感覚ではなにも感じることができません。

 電磁波の源は振動する電気のエネルギーです。固体のなかの電気エネルギーは固体を作っている原子が持っています。原子は簡単な絵では、図1−1のように太陽の周りをまわる地球のように、原子核のまわりを電子がまわっているように描かれます。何かの理由で図1−2のように原子から電子が引き離されると、電子はマイナスの電気(電荷)をもっていますから、もともと中性だった原子はプラスの電気をもつことになります。プラスとマイナスは引き合うので、電子はもとの原子に引き戻されようとします。

 もともと一緒にいたいものを無理に引き離すにはエネルギーが必要です。このエネルギーには運動エネルギーとか熱エネルギーとか電磁波(光)のエネルギーとかいろいろなものがあります。原子を熱して温度を上げるというのは熱エネルギーを供給することに当たります。原子を加熱すると図1−2のように電子は元気になって原子から飛び離れていきます。でもプラスとマイナスの引力がはたらくのでまた元の原子に戻る電子もいます。この戻るときに離れるときにもらったエネルギーは返します。熱でもらったので熱で返してもよいですが、熱で返さなければいけないわけではなく、図1−3のように光のエネルギーで返すこともあります。これが固体が光る原理です。

 長々と説明しましたが、半導体でできた発光ダイオードが光る原理も大きな意味では同じです。さきほど例に出した白熱電灯では、与えるエネルギーは電気でしたが、この電気(電流)を一旦、熱に変えて光を出すようにしています。発光ダイオードも電気のエネルギーを与えますが、それを熱に変えるようなことはしていませんから、ここのところの原理が違います。特別な構造の半導体を作り、それに電流を流して電子を送り込むと、光が出ることがあるのです。これは半導体ならではできる特別なやり方です。これについて2で説明します。